リビング・LDKのリフォーム費用の相場と注意点について解説

住宅には寝室や浴室など、さまざまな目的を持った部屋がありますが、そのなかでも最も長い時間を過ごすのはリビングです。長い時間を過ごす場所だからこそ、しばらく住んでいると経年劣化やライフスタイルの変化によって、いろいろ不満を感じることも多いのではないでしょうか。

リビングはほかの部屋とつながっているケースが多いので、リフォームの幅も広くなります。そのため、リフォームにかかる費用や事例を知りたい人もいるでしょう。そこでこの記事では、リビング・LDKのリフォーム事例や費用相場、注意点などを解説していきます。

リビング・LDKのリフォームの費用相場と工期

リビング・LDKのリフォーム相場は一般的に50万~500万円程度です。ただし、リフォームの規模や使う素材、製品のグレードによって費用が大きく変動する点には注意しなければいけません。特に間取り変更が伴う大きな工事になると廃棄費用などがかかり、トータルで支払うコストは高くなりがちです。大幅なレイアウトの変更が必要なリフォームだと工期も長くなり、1カ月程度かかるケースもあります。

一方でクロスの張り替えなど、既存の壁や床などの取り壊しを伴わない工事であれば、比較的コストは安く、工期も短いケースが多いです。張り替える面積にもよりますが、クロスだけであれば半日~1日で済むこともよくあります。

いずれにしても、リビング・LDKのリフォームは幅が広いため、「どこまでリフォームするか」でかかる費用や工期は大きく変動するのが特徴です。そこで、次項からはリフォームの種類別に費用や工期の概要を解説していきます。

壁紙の張り替え

壁紙の張替イメージ

一般的に壁紙に使用されている量産型のビニールクロスの場合、材料費と工事費を合わせた1平米あたりの標準的な単価は2,500~3,000円程度です。防湿性の高いなど機能性に優れた壁紙ほど価格は高くなる傾向にあります。壁紙の単価はデザイン性ではなく、素材や機能性によって変動するケースが多いことを覚えておきましょう。

壁に漆喰や珪藻土といった素材を用いる場合は、材料費と工事費込みで1平米当たり3,000~8,000円程度です。ビニールクロスに比べて単価が高い理由としては、材料費の高さに加えて左官職人が作業しなければいけない点が挙げられます。ビニールクロスより作業の難易度が高くなるため、支払う人件費も高くなりがちだというわけです。

天井の高さによっても異なりますが、仮に15帖のリビングだった場合、壁や天井の総面積は100平米程度になります。単純計算すると、費用の目安は、ビニールクロスの場合は25万~30万円程度、漆喰や珪藻土の場合は30万~72万円程度です。実際には総面積から窓やクローゼットといった部分の面積は差し引きますが、大体の目安として知っておきましょう。

フローリングの張り替え

フローリングには「複合フローリング」と「無垢フローリング」の2種類があり、それぞれ単価が異なります。一般的に使われる機会の多い複合フローリングの場合は、1平米当たり7,000~2万円程度が目安です。それに対して、無垢フローリングでは、1平米当たり1万3,000~2万7,000円程度かかります。

複合フローリングの単価が安いのは、集成材や合板などの基材に化粧材を張り合わせて作られているからです。費用を安く抑えられるうえ、バリエーションに富んだデザインが用意されている点もメリットだといえます。なかには、タイル調や大理石調のデザインもあるので、リビングのテーマに合わせて選びやすいでしょう。

一方、無垢フローリングは継ぎ足されていない天然の木材をそのまま使っているため、肌触りや質感が優れています。経年変化によって「味」が出るうえ、仮に傷がついた場合でも木を削るだけで簡単に補修できるのは、無垢フローリングならではのメリットです。さらに、無垢フローリングには調湿作用もあり、素材によっては香りを楽しむこともできます。

フローリングは単価の違い以外にも、メンテナンスの容易さや暮らしやすさといった部分で違いがあるので、種類ごとの特徴をよく理解したうえで選びましょう。

間仕切りの撤去

間仕切りを撤去する場合にかかる標準的な費用は40万~90万円程度ですが、比較的小さい間仕切りを1カ所だけ撤去するような場合には、10万~30万円程度で済むこともあります。

ただし、間仕切りを撤去する場合は、建物の強度をよく考えなければいけません。住宅によって構造は異なりますが、なかには柱だけでなく壁で建物を支える設計になっているケースもあるからです。そのようなケースでは、間仕切りを撤去すると建物の強度が弱くなり、耐震性も低下してしまいます。

特に築年数の古い建物の場合は間仕切りの撤去に伴って耐震補強が必要になり、結果的にかなり高額のリフォーム費用がかかる場合もあるので注意しなければいけません。間仕切りの撤去が可能かどうかを素人が判断するのは危険なので、リフォームにあたっては実績が豊富な施工会社へ相談しましょう。

なお、間仕切りを撤去する際は、天井や床などの修繕作業が必要になるケースが多いです。間仕切りの撤去費用以外にも、それらの修繕費用まで含めた金額で予算を考えるのを忘れないようにしましょう。

床暖房の設置

床暖房を設置する場合の標準的な相場は65万~110万円程度です。一般的には一帖当たり5万円~11万円程度が相場なので、施工面積に応じて試算してみるとよいでしょう。なお、床暖房を設置する場合は、「直貼り」または「床の全面張り替え」のいずれかを選択する必要があります。

直貼りは、既存の床の上に暖房設備を直接貼り付ける方法です。既存の床の撤去が不要なので、工期は1~2日と短く、コストも安く抑えられます。ただし、暖房設備の上にさらにフローリングなどの床材を重ねる形になるので、床の高さが最大で2センチ程度高くなってしまう点には気を付けなければいけません。

一方、床の全面張り替えの場合は、既存の床を一度撤去するため施工費は高くなりがちですが、床の高さが変わることはなく、すっきりとした見た目になりやすい点はメリットです。工期は施工面積によって異なり、1日で終わることもあれば3~4日程度かかることもあります。

また、床暖房には「電気式」と「温水式」の2種類があります。電気式とは、電熱線などのヒーターを電気の力で温める方法です。温水式に比べて設置費用は一般的に安いですが、その分光熱費は高くなる傾向にあります。

温水式は、床面に配管を通して、その中にある水を給湯器などの力を借りて温める方法です。設置にあたり配管を通さなくてはいけないため導入コストは高くなりがちですが、光熱費は安くなるケースが多く、早く温まりやすい点がメリットです。床暖房の種類や設置方法を考えるときは、使用頻度や導入後の光熱費まで含めて考えましょう。

キッチンの入れ替えやレイアウトの変更

キッチンの入れ替えやリビングレイアウトの変更を行う場合、100万円以上の費用がかかることも少なくありません。特にリビング・キッチン・ダイニングが分かれている住宅で、それぞれをつなげようとする場合はリフォームする範囲が広くなるため、費用も高額になりやすい点に注意しましょう。リビング・キッチン・ダイニングの機能が分かれている住宅をリフォームする場合、一般的に150万~200万円程度が相場です。

壁付けキッチンからアイランドキッチンにするなど、新たに配管工事が必要になる場合は、さらに高額になりがちです。キッチンのグレードやレイアウトにもよりますが、もともとキッチンだった場所の床や壁面の修繕費用もかかるので、100万~400万円程度かかると考えておきましょう。

キッチンだけを入れ替えるのであれば、基本的に配管工事は発生しないので、相場は50万円~100万円程度と割安になります。キッチンのような水回り設備のレイアウトの変更をするときは、配管工事の有無で費用が大きく変わる可能性が高いことを覚えておきましょう。「レイアウトを優先する」「予算を優先する」など、自分のなかでリフォームの優先順位をつけたうえで施工会社に相談すると、スムーズに話し合いが進みます。

よくあるリビング・LDKのリフォーム事例

よくあるリビング・LDKのリフォーム事例のイメージ図

リビングやLDKのリフォームを考えている人のなかには、具体的にどれぐらいの費用や工期がかかったかを知りたい人もいるでしょう。そこで、よくあるリフォーム事例を3つ紹介します。

狭いリビングを隣接した和室とつなげる

築年数が古い住宅では、リビングが狭いという悩みが特に多いです。その場合、隣室の和室とつなげることで開放感のある広々としたリビングにリフォームする事例がよくあります。リビングと隣接している和室をつなげるリフォームをした場合の費用目安は、撤去する壁の大きさによっても変動しますが、100万円以内で収まるケースが多いです。

かかる費用の内訳としては、まず「間仕切りの撤去と壁紙の張り替え」で3万~4万円、「畳をフローリングに変える費用」で20万~22万円程度かかります。そのほかに「障子の撤去やカーテンレールの付け替え・電気工事」で10万~12万円、「和室の天井にクロスを張る(ベニヤ張りも含む)」で4万~5万円程度です。合計すると37万~43万円程度になります。

ただし、リビングとつなげる場合でも、和室はフローリングにせずそのままにしておくパターンもあります。とりあえず間仕切り壁を撤去するだけでも開放的な空間になり、イメージは大きく変わるでしょう。将来的に和室が不要になる予定があれば、リフォームの際に和室の床面をフローリングに変えたうえで置き畳を敷く方法もあります。必要なときだけ和室とリビングをつなげたい場合、費用はかかりますが、天井面にレールを取り付ける可動式の間仕切り壁を新たに設置すると便利です。

壁面収納やクローゼットを増設する

リビングのリフォームをするときに、壁面収納やクローゼットの増設を行う事例も多いです。リビングは家族みんなが利用するスペースなので、収納は多ければ多いほど良いでしょう。また、キッチンには調理器具やお皿など収納しなければいけない物がたくさんあります。快適にキッチンを使うためにも、LDKのリフォームをするときは収納について検討するのがおすすめです。

収納スペースを増やすときにかかる費用の目安は、30万~100万円程度です。収納スペースを増やすにあたっては壁面の一部を撤去しなければいけないケースもあり、その場合は小さい収納であっても比較的高額になる可能性があります。少しでも費用を抑えたい場合、「既存の壁面を残したうえで収納棚を取り付ける」「和室とつなげる場合は押入れをクローゼットにする」などの工夫をしてみましょう。

壁面収納やクローゼットを活用すれば、リビングの見た目がすっきりするため、実際の床面積よりも広く見えるようになります。収納スペースの増設は工夫次第で費用を抑えることもできるので、施工会社に相談しながら進めていきましょう。

間仕切りを撤去して広いLDKに

開放的で広々としたリビングに憧れる人も多く、ほかの部屋との間仕切りを撤去して広いLDKにするリフォームを検討する人も増えています。たとえば、壁付けキッチンを対面式に変更したうえで、隣接する洋室との間仕切りも撤去するといったリフォームです。キッチンを対面式にすることでリビングから洋室まで見渡しながら調理できるようになり、家族団らんの機会がさらに増えるでしょう。

キッチンの変更と間仕切り撤去の両方を行った場合の費用目安は、150万~300万円程度です。キッチンの変更に伴って配管工事が必要になるため、リフォーム費用は高額になってしまいます。ただし、「キッチンのグレードを落とす」「アイランド型ではなく、一面が壁についたペニンシュラ型を選ぶ」といった方法で、費用を安く抑えることも可能です。予算に応じてキッチンのグレードやタイプを選びましょう。

なお、キッチンを壁付けから対面式に変更する場合は通路幅には気を付けましょう。せっかく対面式に変更しても通路幅が狭いと作った料理を運びにくいなど、使い勝手が悪くなってしまいます。一般的に理想とされている通路幅は、キッチンを主に利用するのが女性一人の場合は80~90cm、複数人で使う場合は100~125cmです。

リビングのリフォームにおける注意点

リビングのリフォームにおける注意点のイメージ図

リビングは家族の使用頻度の高い場所なので、万が一リフォームに失敗してしまうとショックが大きくなります。リフォームを失敗しないために、2つのポイントに気を付けましょう。

事前に入念なシミュレーションを行う

シュミレーションをしているイメージ図

リビングのリフォームを行うときに重要なのは、「追加工事が発生しないように、事前にしっかりしたシミュレーションをしておく」ことです。施工会社と事前にしっかりした打ち合わせができていないと、工事を始めてから不測の事態が起きて計画変更を余儀なくされ、追加費用がかかってしまうケースもよくあります。

特に間取り変更が必要な大規模なリフォームになるほど工数は増えるので、事前の計画と実際の施工プロセスで差異が生じる可能性は高くなります。計画変更にあたって利便性やデザイン性を追求しすぎると、当初の予算を超えてしまうかもしれません。

また、しっかりした打ち合わせができていないと、計画変更を行った結果、リビングのコンセプトやイメージが自分の思っているものと変わってしまう可能性もあります。業者との打ち合わせの段階で、自分が考えているイメージをしっかりと伝えておくことが重要です。

デザインや素材など、できるだけ細かい部分まで共有しておくことで、「完成後のデザインと自分のイメージとのギャップ」が生じるリスクを減らせます。施工業者が示してくれる完成形のイメージ図などを参考にして事前に問題点を洗い出し、入念なシミュレーションを行っておきましょう。

気になる個所はまとめてリフォームする

費用を抑えようとするなら、できるだけまとめてリフォームしたほうがお得です。たとえば、「フローリングの張り替え時に全面張り替え式の床暖房を導入する」といった事例が挙げられます。通常、全面張り替え式の床暖房の設置にあたっては床を張り替える費用がかかりますが、もともとフローリングを張り替えるつもりなら問題ありません。それぞれ別のタイミングで依頼するよりも、お得にリフォームできるでしょう。

また、まとめてリフォームすることで工期の短縮にもつながります。一度の依頼で複数の作業ができると職人の作業効率が良くなり、工期が短くなるケースがあるのです。すると、施工会社に支払う人件費の支出が減って、結果的に費用が割安になることもあります。

まとめてリフォームする場合、ある程度のまとまった資金が必要になるのは事実です。しかし、トータルで支払う費用は少なくなるうえ工期も短くなるので、将来的に検討しているリフォームがあるなら、一度に実施することを検討しましょう。リビングのリフォームをするときは、隣接していることの多いキッチンや水回りで気になる部分がないか、よく考えることをおすすめします。

リビングをリフォームして生活を一新しよう!

リビングやLDKは家族が集まる機会も多く、家の中心ともいえる場所です。少しリフォームするだけで、まるで違う家に引っ越したかのような新鮮な気持ちになれるでしょう。

ただし、リビングはキッチンなどの水回りやほかの部屋とつながっていることが多いため、大掛かりで高額なリフォームになりやすい点に注意が必要です。工夫次第で費用を抑えられたり、工期を短くできたりするので、実績が豊富で施工技術がしっかりしている業者に相談して、家族全員が満足するリビングを手に入れましょう。

※リフォームやリノベーションの費用は施行する地域によって異なるため、
本記事で紹介した金額はあくまでも目安としてお考えください。

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