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介護が必要になった、さてどうする?リフォームでかなえる介護しやすい住まいづくりのコツを解説!

親世代が年齢を重ねてくると気になってくるのが介護の問題。今は元気に過ごしていても、60代70代となってくると体力が衰えたり何らかの病気になったりすることがきっかけで介護が必要な生活になる可能性があります。

いざ介護が必要になってからリフォームをあわててするのではなく、事前に介護がしやすい住まいについて把握し、できることから対応しておくことが大切です。今回は、介護しやすい住まいのつくり方のポイントをご紹介します。

介護リフォームは家族全員の視点で考える

介護リフォームとは、介護される側から見て暮らしやすい住まいづくりの方法というイメージが強いです。車いすが通りやすいように玄関から廊下を広げたり、トイレを開き戸から引き戸にするといったリフォームは、介護される側からすると確かに暮らしやすくなります。しかし介護される側だけでなく、介護する側やそのほかの家族も同居するわけですから、介護する側が介護しやすい、他の家族が介護を手伝いやすいという点も考慮しなければいけません。

玄関から室内に上がる際に車いすを押しやすいようスロープ状にする、トイレのドアの種類だけでなくトイレ内が汚れた時に掃除しやすい内装材に替えるなど、介護する側が介護しやすい工夫を考えることが大切です。

また、一概に介護リフォームといってもその内容はさまざま。必要な介護の内容にあわせてリフォームしなければ意味がありません。たとえば、車いすを使うこともあるけれど自立歩行の練習ができるようなら玄関や廊下に手すりを設けるのが望ましいですが、自立歩行はすでに困難で車いすでの移動が不可欠なら、車いすが通りやすいよう手すりはむしろ付けないほうがいいということになります。

介護リフォームを検討したい場所は?

介護が必要になった時、介護リフォームをしておきたい場所はどこなのかを知っておくことは、リフォーム工事の内容を決める上で重要なことです。具体的にひとつずつ見ていきましょう。

・玄関
外出の際に必ず使う玄関は、本来は外からの土やホコリなどを室内に上げないために段差をつけてあります。しかし介護が必要な生活になると、この段差が通行のネックになります。介護を受ける側が自立方向できる場合でも車いすの場合でも、転倒しにくい工夫が必要です。

アプローチと玄関ポーチ、玄関ポーチから室内に入った土間と廊下の間にある段差は、通行しやすいように踏み台やスロープを付けます。自立歩行できるなら、靴の脱着がしやすいように玄関チェアをつけるだけでも有効ですし、2~3段の踏み台と手すりをセットで付けるのもいいでしょう。車いす用にスロープをつけるなら、急な角度は介護する側に負担がかかりますから、長めにスロープをつくってなだらかな角度を確保することが大切です。

どんな通行方法であっても、転倒しにくいように玄関まわりの床面はすべりにくい材質の仕上げがおすすめです。特に雨の日はすべりやすくなりますから、濡れてもつるつるしない床材にします。また、人感センサー付きの照明器具に交換しておくと、出入りのたびにスイッチを操作する必要がなくとても便利です。

・廊下や階段
廊下については、自立歩行できるならドア以外の壁面に手すりを付けましょう。腰あたりの高さに設置すると体重を預けやすく、歩行の補助として使いやすいです。高齢になってくると握力が低下してきますから、握りやすい丸型や楕円型がおすすめ。握った時に冷たくてびっくりしないように、金属製よりは木製が望ましいです。車いすの場合は、通りやすい廊下幅を確保したいもの。築年数が経った住宅は廊下が狭いことが多いので、最低でも85㎝の幅になるようリフォームで調整しましょう。もし途中で曲がる箇所があるなら、90㎝取っておくと車いすが曲がりやすいです。

階段については、自立歩行できるなら手すりをつけるのがもっとも簡単です。ただしだんだん足の力が衰えてくると、勾配のきつい階段の上がり下りはできなくなりますから、リフォームによって勾配をゆるくしたり、一段一段の踏面を広めにとることも検討しましょう。直通階段だと、万が一階段の最上段や途中から転がり落ちると重大な事故につながりやすいので、L型やU型の曲がり階段にして踊り場を設置して事故の重大化を防ぐといいでしょう。踊り場は途中で休憩できる目的もあるので、上がり下りが楽になります。

車いすであれば、階段用の昇降機を取り付けることになります。階段に直接取り付けるタイプと壁面に取り付けるタイプとがありますが、いずれにしても昇降機と利用者の重さに耐えられるよう補強しなければいけませんので、比較的大掛かりなリフォームになります。

・浴室や洗面脱衣室
住宅内の事故がもっとも起きやすい箇所のひとつである浴室は、安全性を重視したリフォームをすることが重要です。まず考慮したいのは広さの確保。入浴が自分でできる場合でも介助が必要な場合でも、体の向きを変えたり椅子に座って体を洗ったりする動作と介護をする人の動くスペースを考えて、ゆったりめの広さに拡張しましょう。洗い場の幅が100㎝以上あるのが理想的です。洗い場の床面は水で濡れていてもすべりにくい材質にし、洗い場や浴槽の横には立ち座りの際に使えるよう手すりを設置します。浴室用のバスマットはずれやすく、転倒の危険性がとても高いので使わないようにして、洗面脱衣室の床面との段差はできるだけなくしましょう。

自立歩行が困難な時はバスリフトを設置することも検討しましょう。介護される側だけでなく、介護する側にとっても浴槽に入る際の負担が軽くなります。

・トイレ
自立歩行できる場合でも車いすが必要な場合でも、広めの面積が欲しい場所です。特に便器の前は、体や車いすを方向転換できるだけのスペースを確保しましょう。介護される側が自立歩行できるのであれば、出入口の横や便器の横に手すりを設置すると移動が楽になります。出入口は少ない力で簡単に開閉できる引き戸がいいでしょう。

介護する側の負担を軽くするために、便器には温水洗浄便座をセットしましょう。介護される側の状態によっては粗相が多くなる可能性があり、都度ケアするのはとても大変だからです。便器に座るのに間に合わず漏らしてしまうこともありますから、床面や便器周りの壁面をパネル仕上げにするのもおすすめです。もし汚れてしまってもさっと拭きとれますし、汚れやニオイが残りません。

・寝室
日常的な介護をする場所として、ベッドの両サイドからケアできる広さは確保しましょう。車いすを使うことも考慮して、車いすが楽に方向転換できるスペースも必要です。着替えやタオル・大人用おむつなどを収納するスペースや、テレビなどを置くスペースも考えて間取りを考えることが大切です。

出入口は、有効開口寸法が大きく取れる引き戸がおすすめです。寝たきりになった場合は介護される人がほぼ終日過ごす場所になりますから、採光や通風がしっかり取れて快適に過ごせるよう窓を配置したり、気分が明るく穏やかになるような色合いの内装材を選ぶといいでしょう。汚れ防止や消臭効果がある壁紙を使うのもひとつの方法です。

介護保険をしっかり活用しよう

介護保険は、介護のために住宅をリフォームする際の費用を支給してくれる制度です。介護認定のレベルに関係なく、段差の解消や扉の取替え、すべり防止のための床材変更といったリフォーム工事の費用について、上限20万円までのうち9割が支給されます。つまり最大18万円は介護保険でカバーできます。

その他、居住している地域の市町村独自に制定されている住宅改修費制度についても活用するとさらに自己負担額を減らすことができます。

介護は毎日続くことですから、なるべくスムーズにストレスなく行えるような住宅環境を整えたいもの。介護が必要になる前に、介護生活が始まった時のことを想定してリフォームで対応しておくことも検討してみてくださいね。